宅配ボックス
基礎知識

#03
「Nasta Box SOFT」
デザイン秘話
佐藤可士和さんインタビュー

ユニクロなどの企業ブランディングから、
幼稚園のデザイン、歌舞伎や有田焼など伝統文化に関わるアートワークなど、
様々な領域にわたりデザインを手掛ける、
日本を代表するクリエイティブディレクターの佐藤可士和さん。
ご自身も宅配ボックスのヘビーユーザーであり、
常に時代に沿ったプロダクトを提案し続ける可士和さんに、
今回ナスタの新商品「Nasta Box SOFT」のデザイン監修をする中で、
宅配ボックスに込めた想いや裏話を伺いました。

──可士和さんご自身も宅配ボックスのヘビーユーザーと伺いました。使ってみていかがですか?

使ってみて実感したのは、ものすごくありがたいと感じることがたくさんあるということ。まさに今、世の中が新しい生活様式に変化して、僕も働き方や買い物の仕方が変わりました。

普段からネットショッピングはよく利用する方でしたが、ステイホームになってからはより使うようになって、頻度も倍くらいに増えましたね。なので、荷物が頻繁に届くようになって、家にはいるのですがオンラインで打ち合わせをしていたり、仕事中のことが多いので、インターホンが鳴ってもほとんど出られなくて……そんなとき、宅配ボックスって本当に便利ですね。僕自身が「Nasta Box SOFT」の恩恵をひしひしと感じています(笑)。

──不在の時だけでなく、在宅中でも宅配ボックスが活躍してるということですね。

大活躍です! 子供もオンラインで授業を受けていますし、妻も仕事をしているので、やっぱり手が離せない時ってたくさんありますよね。家に長く居ると実感します。

あと、宅配ボックスがあるだけで再配達がなくなると思うと、精神的にもすごく良いです。コロナの影響で、医療や飲食など、様々な業界に影響が出ていますが、物流もそのひとつですよね。需要が急激に拡大している中でも、配達ドライバーの方々が毎日届けてくれるおかげで、私たちは不自由なく日用品や消耗品を注文して、家で受け取れることができていますが、再配達が頻繁に起これば、それらは崩壊します。宅配ボックスで受け取ることが、私たち自身の便利だけでなく、様々な社会問題を解決しているところが、本当に素晴らしいと感じています。

実際、宅配ボックスを置いてからは、ウチもほとんど再配達がなくなりましたよ!

──様々なバリエーションがある宅配ボックスの中で、「Nasta Box SOFT」のデザインはどのような特徴があるのでしょうか?

他の商品と比べて「軽やかさ」が一番の特徴ですね。僕も使ってみて、すごく良いなと思っています。荷物が入っているかどうかも、ちょっと持ち上げれば重いか軽いかで分かりますし、玄関に出しておきたくない時にさっとしまえる手軽さ、重宝しています。

あとは、雨が入らないこと、荷物が濡れないことも重要です。実は、「Nasta Box SOFT」の蓋は家の屋根からヒントを得て、軒のような形状になっています。ほんの少しですけどね、蓋が本体より出ています。この構造が、内部への水の侵入を防いでくれています。濡れてしまうという不安を自然に解消しようということで、こだわったポイントです。

──可士和さんはプロダクトのデザインをされるとき、どのようなところからインスピレーションを得ているのでしょうか?

そうですね、主に自分が使うときをイメージしています。どの仕事でもそうですが、自身の生活の中に入ったときにどうなるのか、それをどれだけイメージできるのかが大事ですね。たとえば、玄関の前に置いて嫌じゃないとか、目立ちすぎないとか、出し入れしたときにどうなのか、とか……

今回の宅配ボックスであれば、大切な荷物が届いたとき何が一番心配かを考えました。盗難のこと、水に濡れてしまうこと、きっと皆さんも非対面で荷物を受け取るときに感じていることですよね。玄関先にむき出しに荷物が置かれていたら盗難の不安もありますが、簡易的にでも鍵付きの宅配ボックスに入っていたら、やっぱり安心感はありますよね。あとは、急な雨が降ってきた時に荷物を守ってくれることで、安心して置き配も利用できます。

──再配達の手間はなくなったけれど、荷物が無くなってしまったり、濡れてしまったりと不安が残るのは、また違うストレスになってしまいますね。

「デザイン=問題解決」なので、まさにストレスの解決はデザインの重要な役割です。“宅配ボックス”という機能で、再配達の手間や、また受け取れなかったというストレスを解決しています。しかし、主に玄関まわりに置かれるプロダクトですから、見た目もとても大事ですよね。便利だけど置いたときにすごく邪魔とか、玄関のイメージと合わないとか、それらのストレスを解決するのがデザインだと思っています。

──最後に、可士和さんの考えるこれからのデザインとは何でしょうか。

「デザイン=問題解決」っていうとすごくつまらなそうに聞こえてしまうかもしれませんが、やっぱり使って楽しいというのも、問題解決のひとつの答えだったりします。

モノって、人間の生活や暮らしを豊かにするためにあるわけですよね。そのときに、所有する喜びとか、使う喜びみたいなものって、豊かさという側面からみると、非常に大事な部分ですから。使っていて気持ちがいい、日々が楽しくなる、そういう視点は常に持っています。機能が揃っていればいいというのではなく、そこからどう豊にするかが勝負所です(笑)。人々の生活をいかに豊かにしていくかが、デザインの使命だと信じています。

そして今年、私たちの生活は大きく変化しました。新しい生活様式に対応したこれからのデザインというのを、長期的な目線で考えることが求められています。感染症もまだ収束することはなく、共存していかなければならない世の中で、我々は前向きに新しい答えを出していかなければならないと思っています。

ナスタ含めたLIVNEXグループは「住むを良く」をミッションに掲げています。それは、今まさにど真ん中の領域で、暮らし方や住むことにたいして、新しい答えをいろいろと提案していく会社です。僕も一緒に考え、よりよい住まい方を世の中に提案していきたいと思っています。